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綾野剛、不自由さと向き合う俳優業最大の難役

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「散々いろんな役やってますから。そろそろ人間やめませんか」
 俳優・綾野剛に投げかけられたプロデューサーのこんな一言から日本テレビ系連続ドラマ『フランケンシュタインの恋』(毎週日曜 後10:30※初回のみ10:00)はスタートした。人間に近い容姿でありながら誰よりも人間に憧れる“怪物”は、これまで一癖も二癖もある役柄を演じてきた綾野にとっても未知の体験。「今までやった役の中で一番苦労しています。『参りました』という感じです」と模索しながら愛すべきキャラクターを作り上げている。

■「正解が多すぎるから不自由」怪物役は手探り

 世界中で知られる『フランケンシュタイン』をモチーフにした同ドラマでは、永遠の命を持ち120年間山奥でたったひとりで暮らしてきた怪物が人間の女の子・津軽さん(二階堂ふみ)に恋をする…。しかし、彼は決して人間に触れることができない秘密を抱えていた。この物語は90年代のヒット映画『シザーハンズ』からもヒントを得ている。『シザーハンズ』は両手がハサミの改造人間と人間の少女の交流を描いたSFファンタジーだが…。

 「“抱きしめたいのに抱きしめられない”という、『シザーハンズ』からイメージした切ない要素を『フランケンシュタイン博士』が生み出した“怪物”に投影しています。この怪物は100%怪物なのではなく、日常生活の記憶も残っているし、言葉もわかる。怪物が人間に出会って恋をして、どのように世界を知って、人間の感情を手に入れるのかを描いた切なすぎるラブストーリーです」。

 これをベースとしながら1年以上前から構想が練られてきたが、いざ、脚本が出来上がると「非常に芝居が難しくなりました」と壁にぶち当たった。「僕の場合は初日にだいたい役柄が見えてくるものなんですが、『参ったな』と思いました。設定ではいろいろと見えていたものが台本をもらって100倍難しくなった。初めの3日間くらいはつかめなかった。きつかったですね。」と苦労を明かす。

 120年間暮らしていた山を降り、初めて触れる世界は不思議なことだらけ。津軽さんのゼミ仲間の稲庭くん(柳楽優弥)や教授(柄本明)、稲庭くんの実家の工務店の人々と出会い、カレーを食べたりお風呂に入ったり、布団で眠ったり。そして「私がいるから大丈夫でしょう?」と自分を恐れずに受けて入れてくれた津軽さんに対しては、名前すら知らない感情が芽生えていく。

 「正解が多すぎるからこそ不自由なんです。怪物が受けとるものをリアクションが大きくても小さくても正解。怯えても正解だし、喜んでも正解。だからこそ『どうしようかな』と迷いました。お芝居だけでなく、照明や撮り方、みんなが同じベクトルに向かわないといけないので、撮影前にどういう方向を俳優部含めた各部署がみつめていくか、一緒に目標を作りました」と手探りながらに正面から“怪物”と向き合っている。

 「誤解を恐れずに言えば、ある意味、『本気を出さない』ことを意識しています。感情を全部埋めないで、彼を生きる。あえて余白をつくって視聴者の皆様に想像してもらう。それがチャーミングだったりおかしくみえたり、皆様に入り込んでもらって、最後の共演者となってもらうことでドラマは完成する。全部の答えを用意するお芝居はやめようと思いました」。

 そしてもう一つの見どころとなるのが怪物の腕が“変態”するシーン。「腕の造形はオールCGでもよかったのですが、ひたすら実物にこだわりました。ただグロテスクだったり、発光したり、鋭いものにもできたのですが 怪物の心は純粋で美しい。怪物のなかにあるなんとも説明しがたい感情が美しさとなって変態してしまう。とても美しくありながらも、それに触れると人間は死んでしまう。だからこそ悲しいんです」。演技だけでなく自ら見た目の細部にまでこだわりを詰めこんだことで、現実には存在しない怪物をしっかりと成り立たせている。

■ゼロからの役作り「怖がらずに捨てていく」

 綾野は2003年『仮面ライダー555』のスパイダーオルフェノク役として俳優業をスタート。奇しくもデビュー作は「怪人」だったわけだが、「澤田亜希は人間であり、人間の心を持った『怪人』でしかないですから今回とは全然違います」と笑う。「あのときは右も左も社会も知りませんでしたから、素直にいうとそこまで『仮面ライダー』での経験が、フランケンシュタインの怪物に生かされているかはわかりませんが、当時の石田秀範監督には、この作品を観てほしいと思います。可もなく不可もない仕事はないと伝えたい」とその言葉には確かな自信がある。

 今回のように一見、賭けともいえるような思い切った設定でも『綾野剛なら観てみたい』と思わせてくれることが彼の実力を証明している。これまでも特撮経験を含め、漫画や小説を原作にしたフィクションのキャラクターでも見事にモノにしてきた綾野だが、役へのアプローチ法は毎回、別物だという。

 「新しい現場に入るたびに、スタッフ、キャスト、役名も変わる。様々な現場を通してたくさん経験を積んでいるようにみえて、経験を捨てているんです。どんな役を生きても、新しい作品では過去の役と同じようなアプローチは一切できません。もし、以前に『怪物』を生きていたとしてもまたゼロから作り直すんです」と矜持を明かす。

 「ただ、これまでの現場で培った人に対してのコミュニケーション能力や人を思いやろうとする気持ちはしっかり引き継いで、自分にいい影響を与えてくれています。デビュー当時と比べると、いろんな現場で勉強させてもらいましたから、成長もしています。もちろん失ったものもたくさんある、それ以上に得たものが多い。このまま、きちんとなにかを得るために怖がらずに捨てていくという行為を続けていきたい。ただそれだけです」。

胎響 [ 平間至 ]

 

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